Mark Akixa５枚目のアルバムは、コロナ禍にアメリカインディアンの長老が発信した「世界の災厄はわれわれが本来の生き方から道を外れたためにもたらされた。だから本来の道に戻らなければならない。本来の生き方とは、歌い、踊り、火を熾すことである」というメッセージにインスパイアされて制作された。「復活」をテーマにした本作は、聴くもののハートに火をつけてくれることだろう。

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「エルク・ドリーマー」とは、エルク（鹿）の夢を見たメディスンマンのこと。エルクは繁殖期になると一匹のオスが多数のメスを独占することから異性の心を掴む秘密の力があると北米先住民の間では考えられていた。エルクドリーマーは夢の中でエルクからその秘密を授かり、恋に悩む若者に求愛の歌を教授したという。「愛」をテーマにした、エルクのささやくメロディーたち。

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ネイティブアメリカンフルートは音域も狭く楽器としての欠点も多いが、Mark Akixaはデビュー作から一貫して、その持てるテクニックやアイディアを駆使して楽器の限界に挑み続けている。本作では楽器としての限界値を更に押し広げ、これまで誰も聞いたことのないネイティブアメリカンフルートの織り成す新しい世界を提示することに成功している。「Kokopelli」とは北米先住民の遺跡の岩絵に伝えられる笛吹きの精霊で、背中のコブにあらゆる植物の種を入れている豊穣神とも言われている。楽曲タイトルに地水火風のエレメントが散りばめられた本作は、聴くものの心に新しい発見や感動の種を植えてくれるに違いない。

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1838年、北米インディアンのチェロキー族はアメリカ合衆国が定めたインディアン居留地までの1700Kmの距離を、ほとんど徒歩で強制移動させられた。移動の間に赤痢などの病気により3人に1人が命を奪われたといわれている。この出来事は、「涙の道」（英:Trail of Tears）と呼ばれている。チェロキー族の人々はこの旅路の途中、チェロキー語の歌詞を付けた「アメイジング・グレイス」を歌って士気を高めていたという。
2011年3月11日に東日本を襲った大震災と福島原発事故。多くの同胞を失い、故郷を去らなければならない悲しみと苦しみ。今回のアルバムは自らを励ますために「アメイジング・グレイス」を歌い続けたチェロキー族の人々の想いを胸にMark Akixaが演奏した、珠玉の作品となっている。更にインディアンフルートの限りを尽くし、演奏時間14分にも及ぶ圧巻の「アメイジング・グレイス」を収録。このアルバムはMark Akixaが東日本大震災と福島原発事故による被災者への永続的な支援のために企画制作したもので、売上の一部は永続的な寄付となる。

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ネイティブアメリカンフルート（インディアンフルート）は、北米インディアンであるカルロス・ナカイが世界に広めた、 主に祭祀のために用いる木製の笛である。青年が愛の告白の代わりに吹いたことから、ラブフルート（愛の笛）とも呼ばれている。しかし音域が狭く楽器として用いるには不向きで、人を癒す音色とされることからヒーリング音楽に留 まってきた。Mark Akixaはあえてその枠から外れ、この笛を楽器として昇華させている。笛の音色の美しさや優しさだけではなく、力強さや儚さ、コミカルな面をも引き出し、叙情的な魅力溢れる世界観を創りあげている。
「All My Relations」はすべてをオリジナルの楽曲とアコースティックな楽器で構成させたMark Akixa待望の1stフルアルバムである。全編に構成されている楽曲はそれぞれが生き生きと収録されていて、太古より自然を愛する北米先住民の祈りが現代の音楽の形となって語りかけているかのようだ。
「All My Relations」とは、祈りの最後に唱えられる「ミタクエ・オヤシン」というラコタ族の言葉の英訳。「私につながるすべてのものへ」・・・これは、愛の音色そのものである。

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【本人による楽曲解説】

1曲目は「Eagle Song」で、私が初めて作曲した曲である。総合環境企業ミヤマのＴＶＣＭにこの曲のソロバージョンが使用された。特に発表する機会があったわけではないが、いずれ形にしたいとずっと思っていたのでこの曲のデモ音源を録音したところ、ほぼ同時にミヤマさんからＣＭのオファーを頂いた。曲が発表されたがっていたのかな？　とタイミングの不思議さを感じたりもした。ギターは太田光宏氏、シンセは小泉一郎氏。ちなみにきちんとアレンジを施したのはこの１曲だけで、あとの曲は独奏である（といっても、多重録音した曲もあるが）。２曲目以降は笛そのもののシンプルな魅力、剥き出しにされた生の音を楽しんでもらえると嬉しい。

2曲目は「ホピ族の雨乞いの歌」。個人的に交流のあるホピ族居留区の、キコツモビという村で教わった曲。本来は同じフレーズの繰り返しのみだが、そこに前奏と間奏を加えた。歌というものは元々、すべて祈りであることを私に教えてくれた曲でもある。そして祈りは歌にして捧げられるということも。

3曲目の「つむじ風」は、互いに違うところからやって来た風がいつしか交わって一つの螺旋を描いて消えるまでの物語。不完全な螺旋のアンモナイトは滅んだが完全な螺旋であるオウムガイは生き残ったという話や、神聖幾何学の話などにインスパイアされた。３本の笛を使用。

4曲目は「アメフリ山」という曲で、５曲目に入っている自然音を録るために訪れた群馬県南部の山中での不思議な体験がベースになっている。「Eagle Song」の曲の原型が５年前にすでに出来ていたことを考えると、「Eagle Song」とこの「アメフリ山」の差から、その間に成長した部分と一貫して変わらない部分の両方を読み取れるのかもしれない。

そして最後は「Eagle Song」の独奏バージョン。インディアン等の文字を持たない文化で口承されてきた物語は、文字によって書き記されてしまった時点である意味、死というか終焉を迎えるという。この独奏バージョンは１曲目に収録されているアレンジされたものよりも作曲した当時の形に近いが、吹く度に即興的に少しずつ変化してきた曲なので、この録音されたバージョンが最終形態だとは思いたくない。この曲をライブで独奏する時には、また新しい「Eagle Song」でありたい。口承の物語が口にされる度に新しく生命を吹き込まれるのと同じように。

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このアルバムは、東北の歴史を時系列的に喚起できるよう構成されています。 全体は大きく二部に分けられます。
第一部は、 1曲目「達谷窟毘沙門堂」から7曲目「Ancestor’s Heart Beat」まで。
東北の古代・自然・本能、たび重なる侵略と悪路王の首、自由の民、激情、ひとり焦土に佇む清衡、謂わば歴史の舞台に躍り出る以前の“原・平泉”とでも言える世界。
第二部は、8曲目「鐘聲」から14曲目「3月の鐘」まで。
供養願文の祈りのもと東アジア屈指の平和都市を作り、やがて義経という英雄を輩出しながら歴史の渦に飲まれ、その哀惜は伝説となり歌に詠まれる。そして21世紀の激動と未来への小さな希望。
もちろん個々の楽曲は元々そのような意味を込めて作られた作品群ではありませんので、純粋にサウンドとしてお聴きいただいて結構です。
もし歴史好きな方は、このアルバムからどんな大河ドラマがイメージ出来るか、 謎解きのようにもお楽しみください。
(Masayuki Toda)

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